えんだより2022年6月分

「わたしの恵みの業が現れるのは間近い。」
<イザヤ書56章1節>


「青い小さな折り紙」

  三ヶ月ほど前の2月の終わりごろのこと、
教会の用事で神戸に行く機会がありました。
私がお仕えしている東舞鶴教会と親しい関係に
ある教会が、しばらく無牧
(専属の牧師がいないこと)になったので、
親しい教会の牧師が代わるがわる
日曜日の礼拝を担当することになったのです。
 平日の保育の余韻が残る私たちの教会の
礼拝室と違い、いかにも教会らしい荘厳な
雰囲気の礼拝堂で、牧師である私の前には
向かい合うように正装の会衆がズラリと
座っています。東舞鶴教会の朗らかで
自由な雰囲気に慣れてしまった私にとっては、
緊張するのに十分な威圧感です。
 いよいよ讃美歌も終わり、私がお話を
するときがやってきました。事前に
用意しておいたメモを取り出すため、
悟られないよう前を向いたまま上着の
胸ポケットに手を入れます。そして
いざ話始めようと思いメモに目を送った瞬間、
私はとてもビックリしました。
……手の中にあったのは、メモではなく
青い小さな折り紙だったのです。
 そういえば神戸に行く何週間か前、
ある園児に折り紙を貰ったことがありました。
子どもが自分の作った作品をくれるのは、
これ以上ない親愛の証です。私はそのツル
(とその子は言っていました)を大事に
ポケットにしまっておいたまま、
すっかり忘れていたのでした。
 会衆の視線が集まる中でも、
青い小さなツルを見ていると、だんだん
気持ちが落ち着いてリラックスすることが
出来ました。そしてその後も素敵な
プレゼントに励まされ、私はなんとか
その日の役目を果たすことが出来ました。
その子も私自身も気づかないところで、
愛のタイムカプセルが胸ポケットに
仕掛けられていたのです。
 愛には賞味期限はありません。
誰かから貰った愛がすっかり忘れたころに
なって、どこかで花開くのは珍しいことでは
ないのです。子どもたちからもらった愛に
いつも私が強められているように、
子どもたちもまた家族やお友だちや先生方から
貰った愛が、いつかふとした瞬間に花開くことで、
たくましく成長してゆくのではないでしょうか。

聖句
「わたしの恵みの業が現れるのは間近い。」
<イザヤ書56章1節>

讃美歌 「たびにつかれて」 
「なかよくなさいとイエスさまの」

今月の歌 「あめふり」

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