えんだより2016年2月分

「完全な愛は恐れを締め出します」
<旧約聖書 箴言(生きるための大切な教えや戒めの知恵のことば)より>



「愛は恐れに勝利する」

 先日、みなさんが一生懸命に書きいれてくださった「健康調査票」を、
おひとりおひとりの園児と親御さんのお顔を思い浮かべながら
拝見いたしました。それぞれのご家庭が知恵を絞り力を注いで
お子さんのためにしておられるお姿を見て、朝日の子どもたちは
幸せだと思いました。住む場所も食べ物も着るものも子どもは
生活のすべてを親に頼っています。親が子どもを育てるのは
鳥類、哺乳類だけです。その中でも親と共にいる時間が最も長いのは
私たち人間です。それは親と共にある長い時間が、子にとって
大きな意味を持つということです。

乳児は、何か怖いことや危ないことを感じると親に助けを求めます。
その時に親がその子をしっかりと受け入れてあげると、その子の中に、
親は必ずどんなことがあっても自分を守ってくれるから大丈夫、
という安心感が根付いていきます。このことを乳児期に何度も何度も
繰り返していくことで、生きていく安心感が育まれ、少しづつ、
親から距離を取れる生活の領域が拡がっていくのです。これを
「愛着行動」と言います。幼稚園に来るのは、年齢的に親との愛着が
ある程度確立して、更に親との距離を少しづつ拡げていくという、
ちょうど良い時になっているのです。
親と子の堅実な愛着形成は幼児、児童期にも、時間は短くなりますが、
続いていきます。長い時間と手間暇がかかるのです
(みなさん、よく知っておられますね!)。そしてそれが
とてもとても大事なことなのです。そのことを軽んじてはならないのです。

医師である岡田尊司さんの著作の中にこのような話が記されています。
“かつて、進歩的で合理的な考えの人たちが、子育てをもっと効率よく
行う方法はないかと考えた。その結果、一人の母親が一人の子どもの
面倒をみるのは無駄が多い、という結論に達した。それよりも、
複数の親が時間を分担して、それぞれの子どもに公平に関われば、
もっと効率が良いうえに、親に依存しない、自立した、もっと素晴らしい
子どもが育つに違いないということになったのである。その「画期的な」
方法は、さっそく実行に移された。ところが、何十年も経ってから、
そうやって育った子どもたちには重大な欠陥が生じやすいことが
わかった。彼らは親密な関係をもつことに消極的になったり、
対人関係が不安定になりやすかったのである。”
 
理屈で考えた合理的な考えでは、ふさわしい親子の愛着関係を
築くことは難しかったのでしょう。いろんな人たちへの関係の前に
まず自分自身の親との関係が築かれていることが不可欠なのです。
みなさんの「健康調査票」は大切な愛着関係の一部分を書き記した
尊い記録です。そのように見守られて安心して育っていった子どもは、
大きく羽ばたくように成長していくことができるのです。これからも
家庭と幼稚園が手を携えて、子どもたちの安全基地としての
良い愛着が形作られていきますように。子どもたちが愛でいっぱいの
心で育っていきますようにと祈ります。
寒い2月ですが心は暖かくして、元気にすごしていきましょう。

私たちに愛を惜しみなく注いでくださいます天の父なる神様。
子どもをいつも受け入れることのできる心の場所を私たちに
あたえてください。子どもたちが健やかに心豊かに育ちますように
お守りください。イエス様のお名前によってお祈りします、アーメン。





聖句 「完全な愛は恐れを締め出します」
旧約聖書 箴言(生きるための大切な教えや戒めの知恵のことば)より

讃美歌 「つくしのように」「ひかり ひかり」

今月の歌 「ペンギンさん」

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