えんだより2015年9月分

「涙と共に種を蒔く人は、喜びの歌と共に刈り入れる。」
<旧約聖書 詩編126篇5節>



「セルフコントロールの大切さ」

  夏休みをどのように過ごされましたか。楽しい思い出を
いっぱいつくれたでしょうか。幼い時の思い出は大人に
なった時にいつでも帰れる心の故郷です。大人にとっても
自分の子どもと過ごした思い出は折々に開けては喜ぶ
心の宝石箱です。この夏の豊かな思い出がおひとりおひとり
の皆さんの心の内に優しく納められますようにと祈ります。


 さて、皆さんはマシュマロテストというものをご存じでしょうか?
スタンフォード大学で付属幼稚園の4歳の子ども186人に
対してなされたものです。
 子どもは、一人ひとり個別に、気が散るようなものが何もない
机と椅子だけの部屋に通され椅子に座るように言われます。
机の上にはマシュマロが一個だけ載っている皿があり「それは
キミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを
我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間に
それを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って子どもを一人に
します。
 すぐ手を出してマシュマロを食べた子どもは少なかったのですが、
最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、
1/3ほどでした。
 興味深いのは、その後の追跡調査でマシュマロを食べなかった
子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを
食べなかったグループが周囲からより優秀と評価されていることが
わかったのです。このことから、自制心(セルフコントロール)の
強さが将来のあり方に大きく影響すると結論されました。また、
就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続している
ことも分かったのです。
 このことを教育的に捉え直せば、幼児期の段階で自制心
(セルフコントロール)の力をつける必要なあるということになります。
自制心(セルフコントロール)は基本的には環境と訓練によるもの
です。ではどのようにするかというと、実は特別なことではなく
幼児期に親と教育機関で自制心(セルフコントロール)の土台を
継続的にしっかりと身につけていけば良いということなのです。
 二学期は運動会、クリスマス祝会など子どもの成長にふさわしい
大きなプログラムがあります。どちらのプログラムも一定期間の
準備が必要です。ゴールに向かって一日一日、物事に計画的に
取り組むことは、無意識のうちに計画することとそれをコツコツ
積み重ねて実行していくことの大切さを身につけさせてくれます。
これは自分自身を目標に向かってセルフコントロールしていく
練習にほかならないのです。
 この事自体は楽しいことでもありますが、ある意味、大変さが
伴うことも事実です。今月の聖句では、その過程を種まきに
例えていて、涙という言葉で、大変さを言い表しています。
 種は収穫を見越して蒔くのです。多くの収穫を得るためには
多くの種を周りの助けを受けながらではありますが、自分自身の
力で蒔かなくてはなりません。僅かしか蒔かなければ収穫も
僅かです。これは自然の法則であり、誰も逆らうことはできません。
私たちが生きていくというのはこの当たり前のことを続けていく
ことです。
 幼児の時から大人になっても、このことは変わりません。現代の
社会は便利になりすぎて、多くのことが短時間で簡単にできるように
なりました。昔ならば、生活そのものが自制心(セルフコントロール)を
養ってくれましたが、現代は昔以上に意識的に家庭と教育機関で
敵瀬るな機会にその練習をしなければならないと思うのです。時には
涙も、親自身の忍耐も必要とされます。
 二学期の子どもたちの練習と訓練をどうぞお支えくださいますように。
 今学期も役員を始め皆様のご協力と共に歩みを重ねてまいります。
よろしくお願いします。

 
 私たち一人ひとりをいつも見守り育てていてくださる、天の父なる
神様。自分を制することは難しいことです。そのことを身につける
ために、あなたがあたえてくださる訓練をしっかりと受けていくことが
できますように。主イエス・キリストの御名によってお祈りします、
アーメン。



聖句 「涙と共に種を蒔く人は、喜びの歌と共に刈り入れる。」
<旧約聖書 詩編126篇5節>

讃美歌 「うれしいあさよ」「こどもをまねく」

今月の歌 「しょうじょう寺のたぬきばやし」

えんだより目次へ戻る