えんだより2014年11月分

「いと高き所には栄光、神にあれ。」
<新約聖書 ルカによる福音書2章14節>



「ことばの力」

   「負ける気がしない」「勝つ」―この二つの言葉は
内容的には同じことを意味しています。けれども、
それぞれの言葉を口にしたとき、その人の中で
起こっていることは異なっています。「負ける気がしない」
と言った時その人の脳の中では一度負けることを考え、
それを打ち消すということがなされています。つまりこの
言葉を勝つために口にしているのに、むしろ負けるかも
しれないという恐怖が先立って心に刻み込まれてしまうのです。
「勝つ」と言った方の人の脳の中では勝つことが肯定され、
負けることは背後に退いていて、勝つことに心の向きが
進んでいるのです。これは一つの例ですが、
すべてにおいて私たち人間は言葉で考え、
その言葉に促されて行動しているのです。
 観察していると分かることですが、暗い考えの人は暗い言葉を
たくさん使います。明るい人は明るい言葉をたくさん使っています。
本人は無意識なのかもしれませんが(この無意識というのが
クセものなのですが)どちらも自分の言葉で自分の方向性を
形作っているのです。もちろん、その人自身の能力、パーソナリティー
というものはありますが、それを出し切るためには、言葉の力
というのは私たちが思っているよりもとても大きいのです。
 そこで私たちに出来ることは何かと言えば、意識的に言葉の
言い方を良い方に変えていけば良いのです。自分の行動を
変えるにはまず言葉を変えていくということです。
 例として、子どもに対する親のことばの二つのパターンを記してみます。

○子どもが本来できることをやるがうまくいかず「だめかなー」と口に出す。

 →A「できるよ。できるからやってごらんよ」

 →B「やっぱりだめかなー でもできないことはないと思うけど
     だめならだめでいいかな。」

わかりやすくするために極端に書きましたがどちらがよいかは
わかりますね。Bでことが終わってしまうとできることもできなく
なってしまいます。こどもの心には「だめ」ということばと
できないという体験が刻み込まれてしまうのです。
子どもができるはずの何かに取り組んでいたら、「できる」と
キッパリと言い切ってください。その言葉を出すときの態度表情も
重要です。信頼感と安心感と笑顔で「できる!」と言うのです。
言ってあげるほうが「できる」と思ってこそ言葉は真っ直ぐに届くのです。

 子「だめかなー」 → 親「できる!」 

→子「できた」 →親子「できた、できた」 

この一連の流れの最後に、子どもが
一番喜んでいる時に、頭を撫でる、手を握る、など子どもの体に
触れる特定のアクションを加えるとよいのです。「できた」嬉しい
体験のピークの時に同じボディアクションをすりことを心理学の
用語でアンカー(船のイカリ)と言います。このアンカーを体験の
中で重ねていくと、今一つ気が乗らないようなときにも同じ動作を
すると脳は嬉しい体験を思い起こしてくれて、やる気スイッチが
はいるのです。当然、反対のことをすると悪いアンカーができて
しまいますのでご注意を。子どものためを思いながら「マイナスの
ことば」とそれを刻み込む悪いアンカーをつくってしまっていた・・
ということのありませんように。多くは書けませんが良いアンカーを
たくさんつくってあげることが大事なのです。
幼稚園での発表や成功体験も良いアンカーをつくることでも
あるのです。そのために練習や体験がこの11月にもたくさん
与えられますように。

 天の父なる神様。寒さが近づいてくる頃になりました。4月に
比べると子どもたちも成長しより多くのことができるようになりました。
あなたは子どもたちにできることを数多く与えてくださいました。
できないことを捜すことではなく、できることをともに喜んで行くことが
できますように。いつも思い起こせるような喜びの体験を子どもたちに
充分にお与えくださいますように。主イエス・キリストのお名前に
よってお祈りします、アーメン。


聖句 「いと高き所には栄光、神にあれ。」
<新約聖書 ルカによる福音書2章14節>

讃美歌 「もろびとこぞりて」「きよしこのよる」「むかしむかしイエスさまは」 

今月の歌 「まつぼっくり」

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