えんだより2013年6月分

「愛には恐れがない。」
<新約聖書 イエス・キリストの言葉>

「ガチガチにさようなら」

 先日、音楽で大きな活躍をされている方から
話を伺う機会がありました。その方が言うには、
皆の前で演奏するときのひとつのコツはリラックス
だそうです。とにかく力を抜く。体も心も力を抜いて、
そしてここという時にはしっかりと必要な力を入れる、
と言うのです。確かにそうでなければ長時間の演奏など
できるはずもないでしょう。さらにその方は、誰でも
練習の時にはある程度、そのようなことが教えれば
できるけれども、コンサートの時になるとたいていは
ガチガチになってしまう、それがプロと趣味の人の違いです、
と言われました。なるほどと思いました。確かに
スポーツでも音楽でも、仕事でも専門の方は無駄な力が
入っていませんね。では、どうして、ガチガチになって
しまうのでしょうか。それは、見ている人たちを恐れたり、
うまくできないのではないかと恐れてしまうからです。
恐れがあると私たちはガチガチになってしまうのでは
ないでしょうか。


 子どももそれは同じです。大人以上にそうなのです。
朝日幼稚園では子どもたちに恐れない心を身につけて
欲しいと願って保育をしています。慣れないこと、
知らない人、初めての経験、それは誰でも本能的に
怖いのです。人間の中にある防衛本能と結びついていて、
それはそれで危険回避のためには必要です。しかし、
必要以上にそれが強くなると、何かあるごとにガチガチになって、
力を発揮できず、練習名人になってしまいます。
 そうならないためには、ではどうしたらよいか。矛盾するようですが、
何度も失敗することです。もちろんただ失敗するだけではダメで、
その失敗を周りの人が笑顔で受け入れて上げるのです。本人が
一生懸命になって、失敗したとき、その失敗ごとその子を
受け入れてあげるのです。そうすると、その子は物事や人を
恐れなくなっていきます、そして、恐れない中で少しずつ
リラックスをおぼえ、持っている力を充分発揮できるように
育っていくのです。一生懸命したのに、失敗したとき、責めたり
怒ったりしてもそれは逆効果です。
ますます物事や人を恐れて結局何にもチャレンジしようとしない
臆病な人間になってしまいます。周りがすることはその子が
一生懸命に準備できるようにすること、その時に「大丈夫」と
緊張をできるだけほぐすこと、そして、これを繰り返すと
その子はいろいろな場面で恐れなく力を発揮できるように
なります。それが生きることの喜びとなるのです。


 「愛には恐れがない。」という聖句を6月は選びました。
イエス様にはたくさんのお弟子さんたちがいました。お弟子
さんたちは多くの失敗をしましたが、イエス様にその度に
ますます暖かく受け入れられて、だんだん物事や人を恐れず、
神様に信頼して、喜んで生きる人たちとなっていきました。
子どもたちも、そして私たちも同じです。
 梅雨の月ですが、芋苗遠足、父の日参観など、恐れなく
楽しくすごしましょう。神は子どもたちを、そしてあなたを
愛しておられます。


 いろいろな事や、たくさんの人たちとの出会いをあたえて
くださる天の父なる神様。楽しい出来事や出会いなのに、
かえってガチガチになってうまくいかなくて、くよくよして
しまう私たちです。でも神様に、そして周りの人たちに
信頼してたくさん失敗しながら、受け入れ合って、力を抜いて、
喜んで、いろんなことに取り組めるようにさせてください。
そのように私たちを愛し導いてくださるイエス様のお名前によって
祈ります、アーメン。


聖句 「愛には恐れがない。」
<新約聖書 イエス・キリストの言葉>

讃美歌 「ちいさいおててに」「ぱらぱらおちる」 

今月の歌 「雨ふりくまのこ」

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