えんだより2013年1月分

「隣人(となりびと)を自分のように愛しなさい」
<新約聖書 マタイによる福音書22章39節>


「人としての心棒」

 2013年を迎えました。少し遅くなりましたが、
皆様、あけましておめでとうございます。
あらためて、この一年も皆様の上に神の豊かな
祝福を祈り申し上げます。


 今ではあまりしなくなりましたが、私が子どもの頃には、
1月にはよく、コマを回したものです。昔ながらの紐を巻いて
回すものから、小さなコマ、手作りのもの、時には地球ゴマ
などという、新式のものもありました。いろんなコマがありますが、
つくりは基本的には同じです。静かに回るのが良いコマなのです。
すごい速さで回転しているのに、止まっているように見えるのが
不思議でコマを回しては、じっと見ていたのを思い出します。
 そのために大切なのはただ一つです。心棒がコマの中心に
しっかりと通っていることです。材質は見た目はそれぞれで、
そのものには優劣はありません。ただ心棒がしっかり通って
いるかどうかが大事なのです。いくら一生懸命になって
回そうとしても、心棒がずれていては、そのコマは回ることは
できません。


 心苦しいことですが、現代の子どもを取り巻く環境は、難しい
ものがあります。いつの時代もその時代なりの難しさは
ありますし、私の子どもの頃が手放しで最高だったなとど
いうのではありません。しかし、やはり、現代、そしてこれからの
社会は、こと子どもの成長ということに限って言うならば、
難しいことが多いということは、認めるべきでしょう。一昔前だったら、
当たり前のことだった基本的な道徳も、次々と時代の流れの中で、
用済みであるかのように、押し流されてしまっているのでは
ないかと思わされることさえあるのです。


 だからこそ、子どもの時に、それも幼少期のうちに、人として、
健やかに生きるための心棒がしっかりと心の中に、生き方の中に
通されていることが、大切なこととなるのです。幼稚園の時期は
まさにその時です。比較的小さな保育者の目のよく届く社会の、
いろいろな経験の中で、人としてのルールを身につけていきます。
私自身も幼稚園時代に、身につけたことが今の自分の基礎に
なっていることを年を経るごとに実感しています。他人のものを
奪い取らないこと、他人の嫌がることはしないこと、困っている
人がいたら助けてあげること、嘘をつかないこと、自分が
悪かった時には素直に謝ること、約束を守ること、時間を
守ること、大事な時には我慢をして動かないこと、弱いもの
いじめをしないこと・・、書いていくとキリがありませんが、
たぶんどこの国いつの時代にも変わることのない、人としての
心棒である事柄です。


 これらのことを一言で言っているのが今月の聖句なのです。
隣人を大事にすることは、すなわち自分を大事にすることであり、
自分を大事にすることは、隣人を大事にすることです。
そして、その土台となるのが、
私たち人間の造り主である神を愛することです。
子どもたちと礼拝をして神を愛し、隣人を愛する、人間の
心棒がしっかりと幼稚園のうちに通されることによって、
長い生涯をまっすぐに激しく動きながら、
とまっているように静かに動き続けられる、
幸いなあゆみが必ずなされることを信じます。

 最後の学期になりました。共に愛する子どもたちのために
学年最後の日々を駆け抜けていきましょう。また、続けて
皆様にも、お願い、ご協力を仰がねばなりません。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


 私たちの心の、そして生き方の心棒となってくださる
父なる神様。新しい2013年がはじまりました。どのような
素晴らしいことが待っているのか、今から楽しみです。
苦しいことや大変なことも、あなたが、私たちへの道しるべとして
良いことへ導くために与えてくださることであることに
感謝します。私たち一人一人を守り導き、祝福してください。
あなたを愛し、隣人を愛し、自分を愛する一年としてください。
 救い主イエス・キリストのお名前によってお祈りします、アーメン。



聖句 「隣人(となりびと)を自分のように愛しなさい」
<新約聖書 マタイによる福音書22章39節>

讃美歌 「こどもをまねく」「どんなときでも」 

今月の歌 「もちつき」「雪やこんこん」

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