えんだより2012年10月分

「神よ、今こそわたしの手を強くしてください。」
<旧約聖書 ネヘミヤ書6章9節>


「伸びゆく力」

   運動会の日が近づいてきました。子どもたちも練習に
はげんでいます。みなさんも楽しみにしておられることでしょう。
何よりも健康に気をつけ、その日が楽しいものとなりますように。
様々なお手伝いをお願いしている方々も、この場をかりまして、
どうぞよろしくお願いいたします。


 今では、秋、または春に学校や幼稚園で運動会が
行われるのが当たり前となっていますが、これは明治期に
始まるもので、海軍兵学校、札幌濃学校(のちの北海道大学)
の催しとして行われ、小学校では初期の事例として北海道の
松代小学校(ここはなんと私の卒業したところです)の運動会
が記録に残っています。幼稚園では明治中期の長野県
松本の幼稚園の記録があります。
 運動会も自ずと、その年齢等によって目的、内容も異なって
くるものです。園児は小学生のように、整然と協議をすると
いうことよりも、皆で一緒に体を動かし、力をあわせることが
できることを楽しむことでしょう。もちろん練習の成果を表す
ことも大事なことは言うまでもありませんが、幼稚園の時にしか
できない園児らしい運動会ができ、子どもたちが練習を重ね、
その力をのびのびと発揮する姿を喜ぶ時でありたいのです。


 今月の聖書のみことばはとても単純なものです。子どもたちも
練習の毎日の中で、お祈りの心で声に出して言ってくれる
言葉でしょう。さて、これは私たちもよく知っていることですが、
何かを練習したり、取り組んだりするときに必ずといって良いほど
経験することは、自分の弱さではないでしょうか。
 始めはできないのです。できないことをできるようにしていくのが
練習なのですからそれは当然のことです。熱い汗や冷たい汗を
かきながら、自分の弱さを感じます。できない辛さを経験します。
他のできる姿を見て焦ったり迷ったりします。できない自分に
がっかりしたり、うんざりしたりすることもたびたびでしょう。
 けれどもそれが大事なのです。できないことに取り組み、
少しずつできるようになっていくことを体で知ることが大事なのです。
できない弱さが努力によって、できる強さになっていくことを、
できない辛さが、できる喜びに変わっていくことを、他の子を見て
ふりまわされてしまう焦りや迷いが、できるようになることによって
自分自身の自信になっていくことを、がっかりすることが、しっかり
することに変わっていくことを体で知ることが大事なのです。
 子どもに限らず、人間が成長するというのはまさしくそういう
ことです。やればできると思っていることを、心の中にとどめないで、
汗をかきながら、いろんな思いをしながら、現実に、「できること」
にしていくのです。その体験を積み重ねて子どもも、私たちも
成長していくのです。


 園児たちは、運動会という一つの目標に向かって、毎日、
練習しながら、自分の力が伸びていくことを、皆で力をあわせる
ことができるようになることを日々体験しています。そのための
一つの目標となることが運動会の最も大きな意義でしょう。
そういう意味では運動会当日よりもむしろ、毎日練習している今、
今日、この日に子どもたちと話し、様子を聴きながら、ほめて、
助けて、力づけてあげていただきたいのです。大好きなお父さん、
お母さんとの毎日が子どもにはいちばんの励ましです。
子どもたちを励まし助けるという、外からは見えないもう一つの
お父さん、お母さんの運動会でもあると思うのです。
 運動会を始めとしてこの秋の日の10月の日々が、幼稚園の
子どもたち、皆様の上に豊かな祝福として実りますように
お祈り申し上げます。


 私たちを愛し、慈しんでくださる天の父なる神様。秋の日が
やってきました。体も心もさわやかに運動会、芋掘り遠足、
毎日の園での日々をすごさせてください。子どもたちの中に
神様があたえてくださった、限りのない力を、子どもたち自信が、
努力の中で見つけ出し、かたちにすることができますように。
一人ではなく子どもたち皆がお互いに磨きあって、互いが
互いを輝かせていくことができますように。この子たちの
素晴らしさを親である私たちもたくさん見つけだして、
共に喜ぶことができますように。
救い主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします、
アーメン


聖句 「神よ、今こそわたしの手を強くしてください。」
<旧約聖書 ネヘミヤ書6章9節>

讃美歌 「しゅイエスのひつじ」「はたけにおやさい」

今月の歌 「やきいもグーチーパー」

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