えんだより2004年6月分

互いに愛し合いなさい。
<ヨハネによる福音書 13章34節

新しい風をうけて!
もう、サクラが散ってから、ずいぶん日が経ちました。
5月の連休を過ぎて、新しい風を受けるように、子どもたちもグングン成長し
変化しています。それは、4月の入園式からはじまる、毎日の保育の積み重ね、
自分足での登園と帰り、春の遠足・・・などの園外行事などの生活を、経たからこそ
出てきた成長と変化だと思います。
そして、5月のファミリーデーI(お母さんのための日)には、
園のほとんどの保護者の方々が出席されたことも、うれしく思っています。

そのことひとつとっても、保護者の方々の子育てへの意識の高さと、
朝日幼稚園への期待の大きさと、を思わされます。
その日は、お母さんが近くにいるということで、
もちろんいつもは、シャキっとしている子も、楽しく遊んでいる子も、
友だちどうしで過ごせる子も、普段どおりではなかったはずです。
とくに年少の「たんぽぽさん」は、お母さんのもとに行きたくなってしまいました。
それは、まったく自然なことでしょう。


それでも、子どもたちの登園後の流れや、朝日幼稚園が大事にしようとしていること、
は伝えられたように思っています。園では、どんな保育がなされているか、
クラスの先生は子どもをどのように見ているか、そして、わが子は誰と仲良しか、
クラスのなかでどんなふるまいをしているのか、知ることができたでしょう。
わが子の家では見せない表情や、家では考えられない態度も、
見えたのではないでしょうか。


さらに、5月は、府下地区のすべての幼稚園が招かれた、
「京都府立私立幼稚園園児大会」というのが、5月19日(水)に開催され、
朝日幼稚園からも年長の「ばらさん」が出席しました。
これまで第36回なされてきたもので、今年は両丹私立幼稚園協会の
50周年ということもあり、京都府知事や舞鶴市長も出席されて、
参加者(園児、保護者を含めて)の合計は1300人余りで、
東体育館で大々的に行われました。

天候もゆるされて、園から歩いて出発し9時40分に、「ばらさん」は東体育館に到着しました。
園から離れた大きな施設に、はじめはみんなちょっと緊張ぎみの表情を、浮かべていました。
それでも、一歩体育館に入ると、同時にスイッチが入ったように、
大きな声で挨拶をすることができました。
「ばらさん」の保護者の方も、数えることはできませんでしたが、
たくさん集まられ、2階席でご覧になっておられました。


第一部の式典が終わり、第二部より子どもたちの出番です。
まず、童話「三匹の子豚」のストーリーを追いながら、子どもたちも体操したり、
かけっこしたり、参加してゆくのです。
舞台上の「三匹の子豚」の「黄ぶたさん」を、わが園の先生が担当し、
そのあまりの熱演ぶりに子どもたちの目はもうクギづけでした。
そのあと、園児のかけっこです。
50メートルほどの距離を走り、園長にタッチしてまたその距離を帰ります。

みんな頑張って園長のもとに走ってくることができました。
その一所懸命な姿の、一人ひとりの小さな手にタッチしながら、ほんとうに感動しました。
足が早いか、遅いか、などまったく関係ありません。
走っているうちに、足がもつれてしまったり、実際に転んでしまったりだってします。
それでも、もう一度立ち上がって走り出します。
私は園長の役割も忘れて興奮し応援していましたら、
会場係りの人に注意されてしまいました。


そして、そこに集まった全園児が、一緒になって行うものもありました。
館内を、みんなバラバラになって、出会う子どもたちどうしで、
ジャンケンをして負けた人が、勝った人の後ろに付いてゆきます。
そうしてできた、16人ほどの子どもたちが、輪をつくって座ります。
園ごとに、園児の帽子の色が違うために、色とりどりの輪ができました。
朝日の子がどこにいるか、まるで分からないほど散らばりました。


そこで、おのおのの輪の子がスクラムを組んで、それが頑丈な「レンガの家」、
という訳です。先生たちに引っ張られながら、くすぐられながらも、
その輪を崩さないようにします。右どなりに座っているのは誰なのか、
左どなりは何幼稚園なのか、そんなことは子どもたちにとって、関係ありません。
そして、最後は、「レッツ・ゴー」の歌をうたって、すべてが終わったのは、
ちょうど11時ごろであったでしょう。


その日の一日が、「ばらさん」の小学校入学前の大事な行事のひとつであった、
と確信しています。ご覧になった保護者の方々も、みなさんそのように
思われたはずです。そして私は、最後にできた両丹地区の、私立幼稚園の
すべての園の年長さんで作った、「レンガの家」を上から見ながら、
この世の世界の人たちが、あんな風に手に手を取り合って、
スクラムを組むことができたら、どんなに素敵だろうと思わされました。

そこにできた輪の、色はチグハグでした。
園児の頭の帽子の色が違うように、私たちの髪の色は違います。
他の国の人は、目の色も、肌の色も違うでしょう。
しかし、それが何でしょう。みな同じ、この世に生きている、人間です。
みな異なるチグハグな個性を持っていても、同じ輪のために力を合わせ、
互いを重んじながら愛し合う。
あの小さな手では、結べているのに、大きくなると結べなくなってしまいます。


新しい風を受けて、今グングンと成長している、子どもたちも
その大事さ見失ってほしくない、と思います。
個性をしっかり伸ばしながら、自分の色を自分の体にたっくさん試し塗りしながら、
しかしその個性を互いに認め合いながら、さらに互いに愛することができる、
そのようにありたいと願います。




――天の父なる神さま。
朝日幼稚園の子どもたちの小さな手を、あなたが取ってくださり、
その手が大きくなるまで、あなたが導いてください。
思いもよらない事故にあったり、頭をケガしてしまったりした子も、
今はすっかり元気になりました。
また、赤ちゃんが与えられて、新しい命の誕生を喜んでいる、
ご家庭もあります。みんながあなたによって、祝福されますように。
先週の家庭訪問によって、ますます園とご家庭との信頼と交わりとが深められ、
お子のために思いを一つにすることが、できますように。
このお祈りを、イエスさまのお名前を通して、み前におささげいたします。

―アーメン

聖句 互いに愛し合いなさい。
     <ヨハネによる福音書 13章34節>
賛美歌 「どんどこ どんどこ」「あさひが ぱっと」

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